マツダ ロードスター NA – 時代を変えたライトウェイトスポーツ

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マツダ ロードスター NA – 人馬一体の伝説

マツダ ロードスター NA – 時代を変えたライトウェイトスポーツ

単なるオープンカーではない、日本の自動車史に刻まれた「人馬一体」の伝説を紐解きます。

コンセプトと開発の背景

この車の開発責任者、平井 敏彦氏が掲げたコンセプトは「人馬一体」。ドライバーと車が一体となり、意のままに操る楽しさを追求しました。

しかし、開発当初は様々な意見がありました。特に当時の自動車業界はバブル景気の真っただ中。高性能化、大型化、そして豪華志向が主流でした。大排気量で高出力なエンジンを搭載し、電子制御で武装した、いわゆる「ハイパワー車」が各社から次々と登場していた時代です。

当時の代表的なハイパワー車は、以下の車種が市場を席巻していました。

  • トヨタ スープラ(A70、A80)
  • 日産 スカイラインGT-R(R32)
  • ホンダ NSX
  • 三菱 GTO
マツダ ロードスター NAの美しい写真

そんな時代の中で、ロードスターNAは真逆の方向性を打ち出しました。必要にして十分な性能、軽量であること、そして「誰もが手に入れやすく、運転して楽しい」という「アフォーダブル(affordable)」なライトウェイトスポーツカーとして、独自のポジションを確立したのです。

具体的には、1.6Lの直列4気筒エンジンを搭載し、車両重量はわずか940kg。電子デバイスに頼らないシンプルな構造で、人馬一体の走りを実現しました。これは、当時のハイパワー志向の車とは一線を画す、まさに異色の存在でした。

デザインが与えた影響

マツダ ロードスター NAのデザイナーは、俣野 努氏(コンセプトデザイン)、田中 俊治氏(チーフデザイナー)です。シンプルかつ流麗なデザインは、1960年代のライトウェイトスポーツカーの要素を現代的に解釈したもので、特に北米市場で大成功を収めました。

世界中で「ミアータ(Miata)」という愛称で親しまれ、その成功は他の自動車メーカーにも影響を与えました。この影響により、トヨタ MR-S、ホンダ S2000、BMW Z3など、国内外のメーカーから類似のコンセプトを持つライトウェイトオープンカーが次々と市場に投入されました。

ロードスター NAのサイドビュー

NA型ロードスターは、生産期間の約9年間で、全世界で42万台以上を販売。2011年には累計生産台数90万台でギネス世界記録を樹立し、現在も記録を更新し続けています。この大成功は、車の価値は「高性能」や「豪華さ」だけではないことを証明しました。

現在の価値:中古車市場の動向

現在、マツダ ロードスター NAの中古車市場は非常に興味深い動きを見せています。価格は上昇傾向にあり、特にここ数年で顕著な値上がりが見られます。

価格動向

現在の平均的な価格帯は100万円台から始まり、状態の良い個体や限定車では300万円を超えることも珍しくありません。レストア済みや低走行の車両ではさらに高値で取引されています。

人気グレード

特に人気が高いのは初期型のNA6CE型。限定車の「Vスペシャル」や「Sスペシャル」も人気です。状態の悪い個体やAT車は比較的安価ですが、レストアベースとしての需要もあります。

価格高騰の背景

  • 希少性の高まり: 生産終了から時間が経ち、状態の良い個体が減少しています。
  • 海外需要の増加: 北米やヨーロッパでの人気も高まり、輸出が増加。国内の流通量が減っています。
  • 90年代スポーツカーブーム: 近年のレトロブームや、シンプルな走りを求める層からの再評価が高まっています。
  • 純正部品の復刻: マツダが行っているレストア事業により、安心して維持できる環境が整ったことも要因の一つです。

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