日産プリメーラ P12型:デザインと市場の再評価

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日産プリメーラ P12型:デザインと市場の再評価

日産プリメーラ P12型:デザインと市場の再評価

日産プリメーラ P12型のイメージ画像

日産プリメーラ P12について、詳しく解説していきます。


日産プリメーラ P12のコンセプトと開発背景、当時の時代背景

日産プリメーラ P12型は、2001年に登場した3代目プリメーラです。開発責任者は、中島 秀人(なかじま ひでと)氏でした。

このP12型プリメーラは、当時の日産にとって非常に重要な意味を持つモデルでした。1990年代後半からの経営危機を乗り越え、カルロス・ゴーン氏の「リバイバルプラン」の下で開発された、まさに新生日産の象徴とも言える一台だったのです。

開発の目的は、当時のFFミドルセダン市場にあった、保守的で堅実なイメージを変えること。日産は、トヨタのプレミオ/アリオンや、ホンダのトルネオ/アコードといったライバル車に対し、デザインや走りの面で差別化を図る必要がありました。

当時の時代背景は、ITバブルが崩壊し、経済の先行きが不透明な時代。自動車業界では、セダン市場が徐々に縮小し、ミニバンやSUVといった多用途車が台頭し始めていた時期でもありました。

そんな中、P12プリメーラは、従来のセダンとは一線を画す、大胆なデザインと先進技術を盛り込むことで、新しい顧客層を開拓しようと試みました。

具体的には、

  • 先進的なデザイン: センターメータークラスターや、視覚的に訴えかける外観デザイン。
  • 革新的なパッケージング: ステーションワゴンを含む、複数のボディタイプを展開。
  • 先進安全技術: 当時としては先進的な車線逸脱警報システムなどを搭載。

これらの特徴は、当時のライバル車(トヨタのプレミオ/アリオンは「堅実さ」、ホンダのアコードは「スポーティーさ」を追求)とは異なり、プリメーラP12が「未来志向」や「先進性」といった独自のポジションを確立しようとしていたことを示しています。

しかし、そのあまりにも前衛的なデザインは、従来のセダンユーザーにはなかなか受け入れられず、結果的に販売面では苦戦を強いられることになります。この点については、デザインの影響の項で詳しく見ていきましょう。


日産プリメーラ P12のデザインと影響

日産プリメーラP12のデザインは、日産自動車のデザイン部門と欧州のデザインスタジオが協力して手掛けたものです。具体的なチーフデザイナーの名前は公表されていませんが、この車のデザインは、当時の日産が目指した「グローバルデザイン」の方向性を示すものでした。

P12のデザインは、当時の自動車業界や文化に少なからず影響を与えました。特に、先進的で大胆なスタイリングは、その後の日産車のデザイン言語の礎を築いたと言えます。

しかし、その影響はポジティブな側面ばかりではありませんでした。

  • デザインの影響:
    • 業界への影響: センターメーターや、縦方向に伸びるヘッドランプなど、従来のセダンの常識を覆すデザインは、後の他社モデルにも見られるようになりました。しかし、P12の販売不振から、「デザインの冒険はリスクが高い」という認識が広まった側面もあります。
    • 後継車種への影響: P12型プリメーラは、その独特なデザインが市場に受け入れられず、2005年には生産を終了。後継車種は登場せず、プリメーラというブランド自体が消滅しました。これは、デザインの方向性がブランドの存続に直結するという、痛い教訓となりました。
  • 累計販売台数と市場への影響:
    • 累計販売台数: 正確な累計販売台数は公表されていませんが、日本国内での販売台数は、初代や2代目と比べて大幅に落ち込みました。月間販売目標が2,000台だったのに対し、実際にはその半分にも満たない月が多かったと記憶しています。
    • 市場への影響: P12の販売不振は、セダン市場の縮小傾向を加速させた一因とも言えます。先進的なデザインは、従来のユーザーを離れさせ、新しい顧客も獲得できなかったため、セダンというカテゴリー自体の魅力が薄れる結果となりました。

日産プリメーラ P12の中古車市場での動向

現在、日産プリメーラ P12型は、中古車市場で特別な存在感を放っています。

  • 現在の価格帯:
    • 一般的なグレードであれば、10万円~50万円程度の価格が中心です。ただし、車両の状態や走行距離、グレードによって大きく変動します。
    • 状態が極めて良い車両や、走行距離の少ない個体は、稀に100万円を超える価格で取引されることもあります。
  • 人気のあるグレードと不人気なグレード:
    • 人気のあるグレード:
      • ステーションワゴンである「ワゴン」モデルです。実用性が高く、セダンよりもデザインが受け入れられやすかったため、現在でも一定の人気があります。
      • 上級グレードの「20V」や、スポーツグレードである「W20G」は、エンジン性能や装備が充実しているため、マニア層から支持されています。
    • 不人気なグレード:
      • ベーシックなセダンモデルは、独特なデザインが敬遠される傾向にあり、中古車市場では安価で取引されることが多いです。
  • 価格動向:
    • 全体として、P12プリメーラの中古車価格は、横ばい、あるいは緩やかな下降傾向にあります。
    • 理由としては、
      • 生産終了から時間が経過し、部品の入手が難しくなっていること。
      • 燃費や税制面で、現代の車に比べて不利であること。
      • 特殊なデザインのため、購入層が限定的であること。
      といった要因が挙げられます。

しかし、その一方で、独特なデザインや先進技術に魅力を感じる一部の愛好家からは、逆に「ネオクラシック」として再評価されつつある側面もあります。そのため、今後、状態の良い個体に関しては、価格が上昇する可能性もゼロではありません。とはいえ、市場全体を動かすほどの大きな動きにはなっていないのが現状です。

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